【温泉あれこれ】  ー温泉達人への道ー
 
第1 温泉ことはじめ
 温泉が好きという人はかなり多いと思われるが,何事にも趣味が高じて,達人の域に達する人がいる。好きで温泉巡りをしている内に,いつの間にか,温泉達人,温泉マニア,あるいは温泉オタクとしか言いようのない物好きな人達を知るようになった。
 ところで,温泉巡りが趣味と自認するようになったのは,必ずしも古いことではない。前に千葉地裁の民事部に勤務していた平成5年,大型複雑困難事件の起案にほぼ1年間専従することになり,多少気晴らしにできることはないかと考えていたころ,研修所のクラス会に出席した。その際,出席はしていなかったが大阪のO弁護士が日本100名山を踏破したほか,温泉1000湯を達成したと聞いた。もともと,学生時代に高山蛾(高山帯にのみ棲息する蛾)の採集,山のピークハント,バードウォチングに始まって採集した昆虫の種類,登った山の数・観察した鳥の種類(ライフバードという。)等を誇っていたコレクター的な前科前歴があった。そして,かつて登山の行き帰りや旅行の際,知床の「カムイワッカ湯の滝」や岩手の「滝の上温泉(鳥越の滝)」等の滝壺がそのまま温泉になっている自然そのものの温泉,満潮時には海に没する岩礁に湧く伊豆式根島の地鉈温泉・屋久島の平内海中温泉等の現在でも究極の秘湯と言える温泉に入って感激したことがあった。
 そのころには,今のようにTVや雑誌が温泉の特集をするような温泉ブームは,まだ無かったが,天然自然な温泉は,とても良いものだと思っていた。裁判官に任官してからも首都圏以外では東北・北海道の任地が多かったので大雪山周辺,秋田の乳頭温泉郷,八甲田・八幡平等の鄙びた温泉を訪ね自分ではそれなりに温泉通だと思っていた。しかし,入湯した温泉の数を増やすこと自体を趣味にすることまでは全く思いつかなかった。ところが,O弁護士のように登山・温泉・旅行・グルメ探求家と自ら称し日本全国の温泉を訪ね歩くという趣味を持つ人が同じクラスに存在していたことを知って,はるかに及ばないと思うと同時に,取り返しのつかない損をしたような気になった。
 任官当初から心がけていたら,これまでの赴任先でかなりの数を稼げていたのにという残念な思い。北海道の僻地の温泉や青森県深浦の黄金崎不老不死温泉,種子島の温泉等のようにすぐ側まで遊びに行ったが入湯せずに見ただけで通過してしまった僻地の温泉の数々。学生時代は高山蛾の採集と山登りで年間100日以上も登山や旅行に費やしていたのに,任官後はほとんど山にも登らないまま経過してしまったことへの後悔。これらの思いが一度に去来した。O君のように仕事を精力的にこなす傍らもっと積極的に少しでも時間を見つけて好きなことを続けるべきであった。
 そう思って,温泉巡りに機会があったら同行させて欲しいと連絡したところ,早速,平成5年の秋丹沢周辺温泉巡りの誘いを受けた。車で1日の内に鶴巻温泉・伊勢原温泉・別所温泉・広沢寺温泉等と温泉を一日に5ないし10カ所位まわって,3日ないし1週間あるいは10日間近く毎日温泉巡りを続けるという旅行スタイルである。なるほど面白いとは思ったがお金もかかるし,時間的にもそんなに休暇をとれない。とてもまね出来ることではない。
 それでも,今後も都合がつけば週末の土日位は温泉旅行の日程の一部に同行させてもらおうかと思っていた。ところが,大型事件の起案もほぼ完成したその年の末ころ,郡山支部への転勤の話を受けた。その当時の家庭の事情から単身赴任するしかない。福島といえば学生時代登り残した山々も数多くあるし,温泉も数多い。この機会に昔の山登りとスキーの趣味を復活させ,同時にO君のような温泉巡りを自分なりにしてみたいと思った。郡山に赴任後,毎週のように山と温泉,冬はスキーと温泉,千葉の留守宅に帰る途中に,極端なときは福島から新潟方面に山越えして関越自動車道経由で,わざわざ遠回りして途中の山と温泉巡りをし,夏休みには1週間から10日間くらいかけて北アルプス,北海道等の歩いてしか行けない秘境の温泉を尋ね始めた。O弁護士とも機会あるごとに日本全国の温泉地に同行したが,普段は同行してくれる物好きも少ないのでどうしても単独行が主体になる。山は単独行のほうがより深く楽しめるが,温泉巡りは一人では余り様にならないし,一日2,3カ所入るとそれ以上入る気分になれない。しかし,山とスキーと温泉という組み合わせは,予定した登山やスキーが悪天候でも温泉巡りに切替えて無理をしなくても済むという効用もあり,ガイドブックにも出ていないような温泉や予想以上に雰囲気の良い鄙びた温泉に巡り会ったりするのは宝探しのような楽しみである。旅行・ドライブ・グルメとの組み合わせも良い。
 その結果,郡山支部在任中,登山・温泉巡りのためドライブした距離は12万キロをはるかに超え,福島県内のほとんどの道路・林道や自宅のある千葉までの街道筋にある栃木,茨城県内等の市町村の津々浦々の温泉を訪ねた。そもそも,気に入った温泉にゆったりと入るのが本来で入湯した温泉の数を記録して誇るなど邪道であることは言うまでもない。それにもかかわらず,郡山に単身赴任してからあわただしく温泉巡りを重ねてきた。その4年の間に入湯した温泉は,福島県内だけで155カ所,福島県外(北海道,青森,秋田・岩手,宮城・山形・新潟・茨城・栃木・群馬・山梨・長野・富山・石川・静岡・岐阜・滋賀・京都・奈良・広島・瀬戸内海の島等)も含めると,429ヶ所に達し,一番多い日は1日に500kmドライブして13ヶ所入湯,一番多い年は1年間に200ヶ所入湯した。郡山支部を離れてからは,はるかにペースダウンしているが,その後も,ゆったりとしたペースで温泉巡りを続けている。
第2 温泉の数え方
 これまでのところ,訪ねるべき温泉の単位は,俗に「○○温泉」と呼ばれる温泉地を基準にしてきた。そのため,熱海・草津のような大きな温泉郷はどの旅館に泊まっても何度も入湯しても一つにしか数えないが,たとえば吾妻山周辺の野地温泉・新野地温泉・赤湯温泉・鷲倉温泉等はすぐ近くにあっても別個に数えることになる。
 ただ,新しく入湯した温泉地に加えるべきか,また,そもそも温泉と言えるかどうかの判断に迷うこともある。そこで,この機会に漠然としか考えていなかった温泉の定義・数え方について改めて考察を加えることにする。
 環境庁自然環境局によると,日本には温泉地が3170カ所,源泉が2万825あるという(平成21年現在)。
 そして,最近市町村がボーリングするなどして公共のクワハウスを続々と誕生させているし,ガイドブックにはないが5万分の1地図等に載っている温泉,地図にもないが地元の人のみが知っている温泉,山奥等に存在するほとんど誰も知らない源泉,個人所有の温泉等もある。
 温泉の定義は,「その土地の年平均気温より高い温度の湧水」(広辞苑)ということになり,冷泉(鉱泉)が対語になる。温泉法では「地中から湧出する温水,鉱水及び水蒸気その他のガスで別表に掲げる温度又は物質を有するものをいう。」(2条)とされ,要するに温泉湧出口において25度以上の温水又は25度以下でも一定量以上の鉱物質を含む冷泉を温泉法の対象としている。
 温泉法上の温泉には冷鉱泉も含むのである。しかし,25度という基準は,多分日本列島中心部の夏期の気温であり,北海道・東北に当てはめると不都合であるし,鉱物質の含有量が温泉法の定める一定量以下の冷泉でも,土地の人に効能があり名湯と信じられている鉱泉も多いので,一概にそれを温泉ではないと極め付けるのが良いのかどうかが問題となる。そもそも,温泉法は温泉掘削の許認可等の行政目的のために制定されたもので温泉巡りの対象となる温泉の基準とするのに必ずしも適切とは思われない。過日白骨温泉に入浴剤を混入した事件で昨今温泉法も脚光を浴び,天然温泉かどうかの定義についての不都合な点や温泉の成分表示について,厳しくするべきであるなどが検討されているが,いずれにしても,温泉マニアからすると,温泉法は行政的な視点からの温泉の定義にすぎない。
 温泉(地)を温泉名で数える場合,大きな面積の温泉郷で源泉も異なる名旅館がいくつもある草津温泉,別府温泉のような温泉地でも一つに数えるのか?そうすると,すぐ近接して隣り合う小さな温泉(場)が別個の温泉名で呼ばれるというのも不合理な気がする。そして,500mないし1km以上離れた場所で源泉が異なり,雰囲気や温泉の名称も変えて新たに開湯した場合は,別の温泉となるのか。タンクローリーで遠方にお湯を運んで別の温泉名を名乗っている旅館を温泉の地名主義ではカウントするのかなどの疑問が生じてくる。タンクローリーは確かに天然温泉としては不自然な感じがするが,パイプや導管でお湯を引いている場合とどこが違うかと言われると,それほど確たる違いはないとも言える。タンクローリーで温泉を運んでいる場合,源泉の湧出地では温泉施設を開設せず,別の場所の温泉施設でタンクローリーで運んだお湯で温泉名を名乗っている場合(例えば桶川の源泉を羽生温泉としている例)はカウントしても良いと思うし,地域開発のため源泉を共同で掘削し,その地域の温泉施設全体にタンクローリーでお湯を運んでいる場合にどの旅館の温泉に入湯しても1つの温泉とカウントしても構わないと思われる。
 ちなみに,温泉マニアの間では,現在では源泉の数で数えるというのが正当派である。確かに源泉で数える方がより明確ではある。この場合,有名な温泉地でも源泉が異なる旅館があれば複数に数えることが出来るし,一つの旅館に源泉が複数あれば,一度に複数入湯したことになる(例えば北海道の菅野温泉は一つの旅館に泉質の異なる7つの源泉がある)から源泉主義の方が入湯数は増える。
 しかし,ある程度距離が離れて別個の温泉名で呼ばれ,伝統的な温泉地としてそれぞれが別個の名称で呼ばれ,雰囲気が違っていても同一の源泉から導管やパイプ,あるいはタンクローリーで引湯している場合は,同一の源泉に入ったことになるので,必ずしも数を増やすことに貢献しない。しかし,源泉は,源泉の湧出口又は掘削井戸ごとに違うと定義しても,同一旅館で,極めて隣接した場所に掘削した井戸が何本もあり,湯質も同じで地下の湯脈が同一だとしたら源泉は複数といえるのか,地下の湯脈と人工的な導管とで区別をする実質的な理由があるのかなど考えてゆくと微妙な問題がある。源泉が異なるといっても地下の泉脈が繋がっていれば同じではないかなど考えると訳が分からなくなる。また,源泉主義では入湯した温泉が源泉であるかどうかをいちいち確認するというのも結構煩わしい。
 他方,都会の銭湯でも水道・井戸水ではなく素朴な意味での25度以上の温泉や冷鉱泉を使用している場合は,源泉主義,地名主義のどちらでも温泉巡りの対象となる。東京,神奈川等には,天然温泉を利用した銭湯が数多くある。その反面,和漢の薬湯,ハーブ湯,光明石温泉,人工のラドン・トロン・ゲルマニウム温泉,人工の炭酸泉温泉など天然温泉よりも温泉としての効能が高い入浴施設や最近のスーパー銭湯のように効能・雰囲気が天然温泉よりも快適な施設もある。
 しかし,いくら効能や雰囲気が良くても,これら人工温泉は温泉巡りの対象とはできない。その他,体のどこまで浸かったら入湯したことにするか。へそまでというのが通説?であるが,温泉スタンドや天然の源泉からの湯をホースで頭から湯をかぶるという入り方もある。循環式の温泉を天然温泉と言って良いか,真水や井戸水で薄めた温泉を天然温泉と言ってよいかなど検討すべきことも多いし,判断に迷うことが多い。
 高校の1年後輩の昆虫採集仲間(カミキリムシ・オサムシの収集家)で気鋭の構造主義的生物学者池田清彦が「分類の思想」という本を著した。いわく「分類することは,思想を構築することだ,……我々の日常は,のべつまくなしの分類作業だと言っても過言ではない。目の前のものが食えるか食えないか。…… コトバによる世界の分節は恣意的なものである。……すべての分類は人為分類である。従ってすべての分類は本来的に恣意的なものである。」
 生物の分類という自然科学のもっとも基本的な分類でさえ恣意的である。
とするなら,自然に湧出する源泉の露天風呂に始まって,湯治場のような鄙びた温泉,大ホテルに至る様々な形態の温泉を分類する基準が,恣意的になるのは当然である。
 そこで,ここまでいろいろな側面から考察してきたが,温泉巡りの対象基準及び温泉の単位は,厳密には規定できないことが判明した。
 しかし,せっかくここまで書いたので,自分としての温泉巡りの数え方の単位を整理すると,これまでのリストは原則温泉地名主義を基本としてきたので,過去のデータは,そのままにし,「天然に湧出する温水(温度はその土地の年平均気温より高い温度)又は冷泉(鉱物質の量にはこだわらない)の源泉,及びこれらの源泉を利用した温泉浴場で地元及び温泉ガイド等でそれぞれ別個の名称で呼ばれている温泉(場)。」と一応定義しておいた。しかし,これからは,源泉主義にシフトすることにし,泉質の明らかに違う源泉もカウントし,「迷うような場合は自分の知識・経験と良心に従って個別性を判断する。」という極めて恣意的な結論になった。
第3 温泉マニアの分類と形態
1 数泉(かずせん)マニア
 ひたすら数多くの温泉に入湯して制覇した温泉の数を自慢するマニア。平成16年12月現在で,既に6000湯を超えている人(ペンネーム「数泉者」かずせんもの)がいるし,平成16年12月5日現在で5845湯(その後7000湯達成)のH氏もいる。会社経営者であるH市は東京と大阪の居宅にそれぞれ温泉巡り専用の車を所有しており,東京の居宅は最近になって温泉付きマンションで売り出しているAPAマンションを購入し,自宅では源泉かけ流しで入湯しているという贅沢さである。そういえば温泉マニアの話からは脱線するが,かつて,仕事をリタイヤしてから昆虫採集に興味を持って日本蛾類学会に加入し,蛾の採集マニアとなった仙台のW氏は,屋久島(ちなみに,私は学生時代屋久島で新属新種の蛾を発見している)に棲息する蛾の調査採集を志し,屋久島に専用のジープを購入して仙台から毎週のように通って,後に自費で屋久島の蛾類という本を出版したが,世の中にはそのようなリッチなマニアもいる。ただし,数泉マニアは,バイクのライダーがもっとも適しており,乏しい小遣いの中でツーリングしながらひたすら温泉巡りの数を重ねているのが実態である。4000湯以上を達成した人も何人かいる。一度真似してみると分かるが,物好きとしか言いようがない。あるマニアは1日に食事を取る閑も惜しんでポテトチップをかじりながら車を運転し20ヶ所以上(38ヶ所入った人もいる)入湯し,1年間に500湯入湯するという生活を何年間も継続している。それでも5000湯を達成するには10年かかる計算になり,いかにすさまじい記録かが分かる。また,温泉によって,日帰り入浴が可能な施設・旅館と宿泊又は食事をしないと入浴させてくれない所,日帰り入浴の可能な時間制限がある所,特定の曜日しか営業しない所,療養以外の入浴を断る所など様々であり,温泉のはしごをするには,予め綿密な調査をしておかないと無駄足になる。ローカルな温泉は,全く看板等もなく,所在地を探すのも困難な場合も多い。ちなみに,最近は,カーナビが発達し,大概の温泉は電話番号や住所で簡単に探し出せるようになったので,隔世の感がある。先人の温泉探しの苦労には頭が下がるが,その反面,日本各地の津々浦々の町並みや道路状況,地図の読み方の達人になれる機会を失うし,カーナビがなければドライブ出来ないということにもなりかねない。効率よく温泉巡りをするためには,予め制覇予定の温泉を地図上に一筆書きし,更に道路マップで交差点を右折するか左折するか等の事前準備が欠かせなかったが,これ自体が登山計画と同様な楽しみの一つであった。むしろ,カーナビがなかったころの方が温泉を探しながら尋ね歩く楽しみは大きかった。
 ところで,私の入湯記録によると,現在までの入湯数は,1001湯である(平成24年11月現在。源泉主義で数え直せば,もっと増える)。しかし,改めて数えた場合100湯を超える人は実際には少ないと思われる。温泉関係のガイドブックや旅行・温泉についての本を書いている温泉のプロと言われる人でも,実際には,300ないし800ヶ所ぐらいの入湯数であるのに,雑誌やTVで温泉通を自称したり,温泉関係の本に執筆したり出版したりしていることがよくある。
 郡山に単身赴任していた4年間,最初の年は60湯,次の年が100湯,その翌年130湯,最後の年は200湯と温泉巡りのはしごがエスカレートしてきた。1日で一番多く入湯したのは車で500km走行して13ヶ所という経験がある。3ヶ所くらいでもう嫌になり,のども渇いてくるのを我慢して温泉のはしごを続けたが,ただひたすら記録を伸ばすためであり,何のためにここまでして温泉に入らなければならないのかという意味では馬鹿げている。土日の週末をすべて温泉巡りのためだけに費やせるわけでもないし,雪の降る北国では冬場の温泉巡りは制約されることなどを考えると,1年に200湯を続けるのが如何に困難なことかは身をもって体験している。やはり,サラリーマンで生涯に1000湯を達成する人は,立派な数泉マニアと認定してよいが,真似しようとする人がそれほどいるとは思われない。郡山では確かに数泉マニア的ではあったが,現在は人並みにゆったりと温泉巡りをする事にしている。もっとも,入湯リストをまとめてみると,その時々の日本各地の風景や風情等様々な思い出がこみ上げてくるので,貴重な体験ではあった。
 ある温泉達人のTVチャンピオンは,多分2500湯くらいは入ったものの,温泉の入湯数は,カウントしていないと言っていたが,それもまたよしである。
2 野湯探検家
 秘湯と言っても,いまや人だらけの所が多い。そこで,北アルプス等の歩いてしか行けない山奥の秘湯を尋ねたり,道のない川を渡渉しながら遡り,滝や崖を降りたりしながらの秘湯探しを野湯と呼んで少し区別する。予め情報を仕入れていても,探すことが出来なかったり,台風や噴火等の自然災害で消滅することもある。足や手を踏ん張っていないと沈んでしまう底なし沼のような温泉に入湯したり,海が凪いだ時を選んで島の断崖絶壁に小舟で近づき最後は泳いで荒磯の岩礁の裂け目に湧く温泉に入ったりする。また,トカラ列島の温泉では,吸血性の海中ボウフラが泳いでおり,入湯すると身体中を刺され,場合によると死ぬことがある不気味な温泉があったり,まさに究極の温泉冒険家である。「命からがら」という副題で毒マスクを付けて火山の噴火口の湯溜まり等に入湯した記録を出版したり,毒マスクを付けてTVに出たりというやや大げさな誇張をした怪しげな人物もいるが,野湯探検は命がけという側面は確かにあり,そのようなアドベンチャー的な緊張感を伴うのが野湯巡りの魅力の一つとなる。山奥の秘湯を尋ねるには登山の知識と装備に加えて体力も必要である。山奥の秘湯の中には,秘湯までの道が全くないため夏には藪が深くてたどり着けず,冬に山スキー等で行くしかない所もある。その場合山スキーの技術・知識や冬山の装備・経験が必要となる。また,火山地帯の温泉の場合には硫化水素に注意しないと毒ガスを吸って,たちどころに死に至ることもあるし,入浴中に噴火や火砕流が発生しそうな秘湯もある。また高温の熱泥のボッケという地帯では,表面が固まって草が生えていたりするため,その上をうっかり歩くと,地面が突然陥没し熱泥で大やけどすることがある。湯達入郎氏(「ゆったりはいろう」という実際には焦って入るをもじったペンネーム)は,ボッケを踏み抜き膝から下を大やけどして,お尻の皮をはがされてやけど部分の皮膚を覆うためホチキッスのような針200本で止められ40日間入院するという悲惨な目にあったが,性懲りもなく温泉巡りを続けている。
3 泉質探求家
 もっぱら湯質を評価するというマニアである。湯達入郎氏は,数泉マニアでもあるが,本来は,湯の質を追及するマニアである。湯達入郎氏は,「大浴場に露天風呂・もてなしにグルメ・新しくて快適・・・」といった旅行会社の協定旅館に欠かせない条件ではなく,「泉質・浴舎の造り・野天風呂のロケーション」だけという,野湯や渋泉も含めてのこだわりの温泉泉質追求派で還暦に4126湯(よいふろ)を目指して既に達成している。
4 名温泉,名旅館希求派
 これが温泉巡りの正統派であるかもしれない。女将の顔を見て温泉旅館名を当てるなどの視聴者受けをねらったばかばかしいTV企画もあるが,温泉宿の良さは,経営者の温泉や旅館に対する理念,女将の人柄,料理のおいしさ,従業員の躾・態度,建物の雰囲気,温泉場の雰囲気・歴史,泉質などが融合されて名旅館となる。
 鄙びた温泉旅館と高級ないし歴史のある名旅館に大きく分けられるが,それぞれの良さがある。また,最近はデザイナーズ旅館と称して,斬新な建物や湯舟に工夫を凝らし,グルメを売り物にして人気を博している旅館もある。
5 その他
 ガイドブックからこぼれた道端にあるような温泉,個人所有の温泉,ポリバケツ・たらい,ドカシー(青色シートで作る即席温泉)の温泉などを尋ね歩く,どちらかというと安上がりで物好きな温泉探しを「超秘湯」と呼んでいる人や,首都圏の天然温泉としての銭湯巡りを主体としている人,鄙びた温泉とややニュアンスの異なる渋泉巡りとか色々な分類・楽しみ方がある。
第4 「温泉」紹介
 これまで入湯した温泉の中から特徴のある温泉やおすすめの温泉宿まだ未入湯ではあるが,温泉マニアの評判等から,これから行ってみたい温泉等を抜粋して紹介する。もっとも,野湯は,自然消滅したり,撤去されたりしていることも多いし,旅館も廃業や経営者の交替により,内容が全く異なってしまうことが多い。特に東日本大震災の影響で東北の海岸線の温泉地の多くは壊滅的打撃を受けてしまった。以下の紹介のうち入湯した記録については,むしろ,過去の温泉巡りのメモリーという程度に思ってもらわないと期待はずれになることもある。 なお,当然のことであるが,この紹介に記載しなかった温泉にも魅力的な温泉は数多いので自ら確かめて欲しい。
1 野湯・秘湯,露天風呂編
 原始野天風呂を主体に,野趣豊かな露天風呂を紹介する。ほとんどが無料であるが辿り着くには,時間と予備知識がいる。ここに記載した以外にも数多くの野湯があり,今後も続けたい分野の趣味である。
【北海道】
中岳温泉 大雪山主峰旭岳の隣の中岳登山道中腹に湧く無色透明の天然温泉。ポピュラーな登山道からはずれているが,夏場は女性登山家が足湯をしているので,入りにくい。それでもわざわざ入湯目的で行ったので,パンツ1枚になって晒し者状態で入湯した。
天女の湯 旭岳ロープウェー中間駅の下の沢に湧く。沢の川水をせき止めた鉄分の赤い色の原始野天風呂。更にその上に背丈以上のクマザサを掻き分けて行くともう一つ別の野湯(吹の湯)があるというが,1人では羆が出そうで怖いので遠慮した。現在ロープウェー中間駅がなくなり,姿見池の上部駅まで直通になったので,夏場は道がない。冬に雪が積もってからスキーで物好きが今でも入湯している。同行してくれる人がいれば,春先の残雪期に再度挑戦したい。
カムイワッカの滝
 知床の硫黄岳から海に流れ落ちる川全体が温泉 TV等で有名になったので夏場は人が一杯。上流に上りながら滝壺のような湯溜まりに入る。野湯の入門に最適。現在危険と言うことで入湯禁止。
オンネトー湯の滝
 阿寒湖近くの神秘の湖オンネトーの林道奥の小さな滝。滝壺と滝上の湯溜まりに入る。岩自体が暖かい。特殊なバクテリヤが棲息するということで現在入湯禁止。
コタン温泉
 屈斜路湖の湖畔にある天然露天風呂。冬場は白鳥がすぐ側で湯浴みしている。2月にマイナス20度の中で入ったが寒くて外に出られない。
砂湯 屈斜路湖の湖畔のキャンプ場前の砂浜。どこを掘ってもお湯が沸いてくる。
岩間温泉 
 十勝三股の石狩岳奥の林道に分け入り,川原にある原始野天風呂 イオウ?アブが多くて落ち着いて入浴できなかった。
熊ヶ谷温泉
 糠平温泉の対岸林道を通って糠平湖畔の入江砂浜に木造の凝った湯舟が設置されていた。湖畔の崖からの湯。熱いので湖の水をバケツでくんでから入湯。当時は誰もいなかったが,雑誌に紹介されてから,ゴミが投棄されたりということで現在撤去されたと聞いている。野天無色透明。
鹿の湯ほか 然別峡菅野温泉奥のユーヤンベツ川の渓流沿いにいくつもの野天風呂がある。
和琴野天温泉 屈斜路湖 和琴半島湖畔 和琴半島には他にも原始野天風呂がある。
からまつの湯 摩周湖の東 養老牛温泉近くの渓流野天風呂
川北温泉 標津 廃屋になった旅館の野天風呂 硫黄泉 愛好家が管理
薫別野天温泉
 知床半島付け根の薫別川上流 林道を遡る。崖上の岩をくり抜いた湯船 熱いので渓流の水をバケツでくみ上げて入る。 対岸の渓流沿いにも源泉
瀬石海浜温泉 知床半島突端に近い海中温泉 潮の満ち干で湯加減 塩泉
相泊海浜温泉 知床半島突端に近い砂浜 小屋掛けしてある。下から無色透明の湯 男女別野天
ヌプントムラウシ温泉 ヌプントムラウシ川上流 秘境沼ノ原登山道 川原から熱湯
地獄谷温泉 トムラウシ川最上流 水量によっては腰か胸まで水に浸かって遡上しなければならないため一人では危険で行けないので未入湯。
トムラウシ川上流には他にも西沢温泉とか誰も知らない温泉が湧いている。
川又温泉 登別と室蘭の中間 幌別ダム奥の林道から更に沢を遡ると硫黄の匂がして温泉があることが分かる。 温(ぬる)いが透明度があり下から湧いてくる。道は笹藪と森の中の沢沿いで途中分かりにくいところもある。誰もいなくて不気味。
奥美利河(ピリカ)温泉 渡島半島 瀬棚郡今金町山の家 池のような露天風呂 透明単純泉 二股ラジウム温泉と山を挾んで反対側。
平田内熊ノ湯 渡島半島 渓流の岩盤をくりぬいた原始露天風呂
水無海浜温泉 函館恵山温泉近くの海浜温泉 椴法華村
【東北】
奥薬研温泉 カッパの湯 下北恐山の北側山あいの渓流にある露天風呂。 なお,渓流に沿った道路ガードレール下の川原に廃業した旅館の残骸の湯舟が露天風呂となっていたが,最近撤去されてしまった。
湯坂温泉 恐山温泉の陸奥市側。川が温泉となっている。
田代元湯 八甲田山の田代平の奥深くにあった鄙びた温泉の残骸。ダムに沈むと言われながら今でも存在する模様。
黄金崎不老不死温泉 青森県深浦 磯の中の海浜温泉 日本海に沈む夕日。
八九郎温泉 奥八九郎 奥奥八九郎 秋田県小坂八九郎部落 原始野湯 天然ジャグジー 露天風呂としては温度も雰囲気も最高 ただし,暖かい頃はアブに刺される。雪が降って林道に入れなくなる直前がベスト。
元安比温泉と草の湯 安比スキー場の近く。八幡平の山奥の沢筋を歩いて行くと元安比温泉と更に奥に草の湯がある。他にも誰も知らない野天風呂がある。
鳥越の滝 滝壺温泉 岩手県網張温泉の奥に葛根田地熱発電所があり,その付近の川は至る所で,温泉が沸いている。鳥越の滝は滝壺にロープで降りるが危険で死傷者も出ているため現在立ち入り禁止。
たつこの湯 秋田乳頭温泉の黒湯から登山道を30分くらい登った所。一本松沢温泉跡地。一本松沢には,方々に温泉が沸いている。
川原毛大滝 秋田 泥湯温泉と山を挾んだ反対側。川全体が温泉(川原毛地獄)であり,滝壷が天然の露天風呂になっている。最近は有名になって夏場は人が多いので水着が必要。12月上旬の雪の降り始めた誰もいなかった時期に入湯したが温(ぬる)くて寒かった。
沼尻元湯 福島県安達太良山 沼尻温泉や中ノ沢温泉の源泉地帯の川。川全体が強い硫黄泉。丁度良い湯加減の所を探して入る。硫化水素が噴出するので全く無風の時は危険。何年か前上部の窪地で安達太良山登山の帰途道に迷ったパーティが4人位死んでいる。
たかつえ樽温泉 福島県舘岩村 たかつえスキー場の近く。水芭蕉の咲く小さな湿原の片隅に大きな樽が置いてある。無色透明アルカリ? 43度
【関東甲信越】
甘湯新湯 塩原の甘湯沢上流。事前の情報で存在すると思われる場所を3時間ぐらいかけて探したが発見できなかった。その年の台風等で消失したかも知れない。
湯の平温泉 新潟 飯豊山最高峰大日岳の山麓 ダムの奥の歩いてしか行けない温泉
赤湯温泉 新潟 苗場山の登山道の途中 山道を2時間 露天風呂のみ
式根島の海の温泉
 地鉈温泉 海のすぐ側の岩礁地帯の入江。岩の割れ目より湯がわく露天風呂。潮の満ち干で丁度よい湯加減の時に入る。
 御釜湾温泉 陸路はないので大潮の干潮の時だけ小舟で絶壁の近くまで行って後は泳いでたどり着くしかない。海中にも温泉が沸いているので潜れば暖かい筈。
 式根島には他にも海浜温泉がいくつかあるが,誰も知らない海浜温泉もまだあるという。
湯沢の温泉 奥鬼怒温泉郷の近くの湯沢 今のところ道がないので川を遡行するか,上部の手白沢温泉から山越えをして下流に下る。最奥に噴泉搭の湯があるが途中にもいくつもの温泉が湧く。9時間かけて制覇してきたが,ハイキングコースのような道を整備しつつあり,比較的手軽に行けるようになると思われたが,台風等でたびたびルートが破壊されるようである。
高雄温泉 那須湯本 旅館廃館後の野天風呂。
尻焼温泉 群馬 川の中に露天風呂が出来る。水量が多いと入浴できない。
銀山平温泉 奥只見 湯量豊富で大きなポリ湯舟があったが,現在は付近の施設に引湯するようになって入湯不可。
切明温泉 長野・秋山郷温泉郷の最奥の河原 河原の岩をどけて掘る温泉であるが,誰かが湯船を作っているので楽に入れる。5月の連休に訪問したときは周囲はまだ雪で寒かった。
【北陸・岐阜・北アルプス】
北アルプス・高天原温泉
 黒部川の源流地帯。高山植物の宝庫雲の平から主稜の登山道をはずれたところに高天原という窪地の別世界があり,山小屋もある。山小屋から30分くらい歩いた川原に露天風呂があるが,台風の度に消滅する。他にも高天原温泉手前の沢筋に野天の温泉が湧く。北アルプス最奥の秘境のため,どこから入山しても到達するため2日間はかかる。なお,高天原温泉の奥には夢の平という誰も訪れない小さな湿原もある。
白馬鑓温泉 眺望絶景の高山地帯の露天温泉
仙人湯温泉
 黒部渓谷トロッコ電車を降りて仙人の通るような崖路を歩いて8時間。又は立山から剣沢雪渓を超えてしか行けない最奥の温泉,露天風呂より北アルプスの連峰を眺められる温泉付山小屋。
湯俣地獄噴泉塔 北アルプス高瀬ダムの奥
祖母谷温泉 欅平から徒歩50分 山小屋 露天風呂が気持ちよい。近くに源泉地帯祖母谷地獄
立山新湯 立山から薬師岳への途中のガレ場の谷底。滝壺
【中国】
三朝温泉 鳥取県 河原露天風呂 無料 近くの橋から丸見え。
湯原温泉 岡山県 砂湯露天風呂 露天風呂の西の横綱 無料
【九州・トカラ列島等】
屋久島 平内海中温泉 式根島地鉈温泉と共に学生時代に訪れて感激した天然の温泉 当時は温泉を管理するお婆さんがいて,岩海苔の炊き込みご飯を食べさせてくれた。
硫黄島,トカラ列島の温泉
 魅力ある温泉の宝庫,特に諏訪之瀬島,悪石島,小宝島等人が住んでいる島々すべてに温泉が散在するが,5日に一度だけの船でl0時間以上もかかるため,2週間以上休暇を取るか,定年退職になってから訪問したい温泉。火山性の灰が降ってきたり,吸血性の虫(ガジャグー)が泳いでいる危険な温泉もあるという。
2 入湯したくても入れない(?)温泉
 前記の野湯は歩いてしか行けなかったり,危険を伴うなど一般の人には入りにくい温泉であるが,野湯でなくても,様々な理由で入湯したくても一般の人には入れない温泉がある。そのうちのいくつかを紹介する。
フンベの湯 登別駅の太平洋海岸絶壁の上にある掘立小屋よりはましな湯小屋。付近は崩落のおそれがあるので立ち入り禁止区域となっている。地元の愛好家が管理しており,台風で壊れたという噂の後でも,何時行っても入湯できた。
今神温泉 山形の山奥 6月から9月位までのみ営業。雪が降るころには小屋をたたむ。古くからの霊泉。浴室に阿弥陀如来等が祭られており,白布を巻き瞑目合掌しながら1日10時間入湯する。療養目的で2週間滞在しないと入浴できない。定年退職後,長年の浮き世の毒素を洗い出すには最適。
湯ノ又温泉 秋田,何時行っても鍵がかかっていて入湯できなかった。
湯殿山のご神体 出羽三山の湯殿山のご神体は,岩盤から湧く温泉そのものであり湯舟が掘られているが,参拝者や観光客が信仰の対象として拝んでいる。入湯しても構わないという話を聞いたことがあるが,危険な場所にあり,柵があり,入湯禁止。足湯のみ。
磐梯山中の湯 磐梯山中腹の素晴らしい景観の地にあるが,経営者が人間嫌いの変わり者。不心得者が勝手に入湯しないように露天風呂は鉄条網で囲まれていた。昼でも雨戸が閉まっており,日帰り客は入湯できない。磐梯山登山の帰途覗いてみたが,玄関は鍵が閉まり老婆が手を振って断っていた。何度か泊まろうとして電話したが不在だった。温泉マニアの友人で運良く泊まれた人によると,予約したのに到着前に電話しなかったと怒られた上,朝4時に「いつまで寝ているんだ。」とたたき起こされたそうである。その後,お婆さんも亡くなり,その息子も人間嫌いでとうとう廃館。今でも露天風呂のあった付近を掘れば源泉がでるが,どろどろで入りずらそう。
甘湯 塩原温泉郷の片隅,小太郎ヶ淵の近くにかつて甘湯という温泉旅館があったが,とっくに廃業。その近くに個人で湯小屋を建てた者がいたが,その人も亡くなり,今はその付近の集落の人が鍵を管理している。温泉仲間に聞くと壁板を外して入湯して元に戻せばよいと言うが,それでは建造物侵入になりかねない。集落の誰かが入湯しに来るのをじっと待って頼んで入れて貰うしかない。
川子の湯 福島県浜通り 鹿島町と原町の中間の林の中に看板もなしの温泉 地元の愛好家が利用するだけ。松脂を薄めたような湯 日曜日のみ営業なので,場所もわかりずらいだけでなく,行っても営業してないことがある。
神河鉱泉 千葉県三芳村正木 観光客はお断り。療養目的でないと入湯できない。
山ん城温泉 川全体が温泉というワイルドな温泉 鹿児島・霧島温泉郷の林道奥にある。ただし,一般車立入禁止の林道である上,濃い毒ガスが発生するので立入禁止の看板がある。生死も含めて自己責任。所在場所はわかりにくい。
3 おすすめの温泉
 高級旅館や伝統ある名旅館は資金に余裕があれば,行ってみたい温泉ではあるが,個人的には温泉本来の良さは,鄙びた温泉宿と泉質・浴舎の造り・露天風呂のロケーションにあると思っている。そこで,そのような温泉の中から自分好みの鄙びた温泉,渋泉,ユニークな温泉を中心にいくつかを紹介する。もちろん,気まぐれに選んだものであるからこれ以外にもおすすめの温泉はたくさんある。また,高級旅館(宿泊時の目安として標準が約3万円以上の旅館を一応高級旅館としておく。)で特におすすめの旅館も紹介する。
 なお,温泉のガイドブックではないので,電話番号等は省略しますが,ここに記載した温泉の詳細な情報を欲しい方は,直接問い合わせて下さい。
【北海道】
雌阿寒温泉 野中温泉別館
 オンネトーの近く,ヒバの内風呂がとてもよい。隣り合ったユースホスステルと国民宿舎も似たような浴室。雌阿寒岳の登山基地
東大雪・幌加温泉 十勝三股にある鄙びた温泉。源泉が異なる浴槽と鍾乳洞のように温泉成分が付着したの浴室の風情が他にはない雰囲気。深田久弥が登り損ねたため百名山には含まれていないが,孤高の名山ニペソツの登山基地。
大雪高原温泉 大雪山の白雲岳の登山基地。高原にあり,秋が最高。白濁硫黄泉。付近の沼巡りルートの奥に原始野天風呂がいくつかあるが,羆が頻繁に出没する。
富良野・十勝岳温泉 凌雲閣 絶壁の上の露天風呂 絶景パノラマ
上川・協和温泉  町営の施設。温泉や建物に風情はないが秋のキノコ懐石が安くて美味しい。
十勝・菅野温泉 然別峡 源泉が7つ。泉質の異なる湯舟がいくつもある。湯治場的雰囲気の秘湯
新登別温泉 「旅館四季」
 登別から少しはずれた所にある民宿的な温泉旅館 海が見える露天風呂 食べきれない程の地元の魚料理 八角,鮭のちゃんちゃん焼き。宿泊客減少で最近は?
丸駒温泉 丸駒温泉旅館 支笏湖畔の静かな一軒宿
小樽・平磯温泉 「銀鱗荘」 
 小樽郊外の海を望む高台の鰊御殿を利用した高級和風旅館 部屋や露天風呂からの眺望がすばらしい。
小樽・朝里川温泉 「蔵群」 最近はやりのデザイナーズ旅館
ニセコ新見温泉 新見本館 ニセコの山の中の秘湯
雷電朝日温泉
 積丹半島の付け根にある余市付近の雷電海岸から山の中に入った秘湯で素朴な宿。丸太橋を渡って行く露天風呂がよかったが廃館 風呂自体は残っている。最近別の経営者が再開した模様。
銀婚湯温泉 函館郊外 風呂の雰囲気やロケーションがよい。
【東北】
青森・下風呂温泉 「海挟の宿カク長旅館」 漁火の見える下北の旅情
青森・恐山温泉  恐山の温泉。白濁色の湯小屋が3棟。露天風呂ではないが恐山に行ったときは入湯する価値がある。
青森・八甲田山 「猿倉温泉」 八甲田の山奥。素朴な宿
青森・蔦温泉 奥入瀬の奥のブナ原生林に囲まれた老舗で素朴な温泉 大町桂月の愛した宿
青森・温川温泉 十和田湖の北にある静かな宿 夏は蛍がチラホラ 吉川英治が「宮本武蔵」執筆に滞在したという。
青森・古遠部温泉 碇ヶ関の山奥 湯治場
青森・湯の沢温泉郷 3軒の湯治場。どれも源泉が異なる。
秋田・大湯温泉 小安峡 阿部旅館 透明でこんこんとわき出るお湯がよい。宿の傍らを流れる大湯川には,至る所に野天のお湯が自噴している。
秋田・泥湯 奥山旅館 昔にタイムスリップしたような湯治場的温泉宿の原点
秋田・鷹の湯温泉 秋の宮温泉郷 冬は雪見の渓流露天風呂
秋田・強首温泉 樅峰荘 文化財の建物。旅館ではなかったのでトイレ等の設備は悪いが,食事も独特で,最近貸切り露天もできた。 源泉別
秋田・夏瀬温泉 都忘れの湯 林道奥の抱返渓谷夏瀬ダムの奥にひっそりと佇む別世界。女性客向きの瀟洒な高級旅館。
秋田・鶴の湯 もともと湯治場であったが,現在の佐藤さんが経営するようになってから折からの秘湯ブームと重なり,人気が出て最も宿泊予約が難しい温泉。下から源泉がわき出る池のような広い露天がすばらしい。源泉は6箇所もあり,泉質が違う。
秋田・乳頭温泉郷 「孫六温泉」 乳頭温泉郷には鶴の湯のように有名なところもあるが,静かに入湯していたい秘湯の一軒家
秋田・日景温泉 ひなびた一軒宿の硫黄泉
岩手・繋温泉 湖山荘。源泉2つ 離れのある瀟洒な高級旅館
岩手・藤七温泉 彩雲荘 八幡平の山の湯
岩手・松川温泉 八幡平山麓 松楓荘 峡雲荘のどちらもよい。
岩手・国見温泉 石塚旅館 岩手の盛岡から秋田に抜ける仙岩峠への途中。仙岩トンネルが出来たため現在では峠道を往来する車はほとんど無い。明礬泉でグリーン色。身体の悪いところが黒くなるという。紅葉の季節は絶景。
岩手・夏油温泉 元湯夏油 渓流に露天風呂がいくつも。
岩手・湯川温泉 奥の湯高繁旅館 見かけは鉄筋コンクリの立派なホテルで黄金風呂などもあるが,経営者は湯治客を歓迎
宮城・湯ノ倉温泉 「湯栄館」
 車を降りて山道を歩いて行くランプの灯る一軒宿。地震で水没?
 栗駒山周辺の温泉郷では須川高原温泉(山頂付近は岩手県)
宮城・温湯温泉・佐藤旅館もおすすめ。栗駒周辺の温泉は平成20年6月の地震で大打撃。
宮城・峩々温泉 蔵王南面の山奥の一軒宿
宮城・青根温泉 湯元不忘閣 伊達藩ゆかりの歴史のある名湯
宮城・斉川温泉 福島の相馬から宮城側に山越えした県境斉川にある鄙びた温泉
宮城・東鳴子温泉 旅館大沼 離れの露天も含め豊富な湯舟
宮城・中山平温泉 元蛇の湯 湯質が独自
宮城・南三陸温泉 志津川湾の崖に海に迫り出して建てられたホテル観洋  部屋及び風呂からのオーシャンビュー・日の出が見事 海の見えるサウナもある。ホテル自体は俗っぽいが宿泊料は比較的安い。東日本大震災後も健在
山形・赤倉温泉 三之亟 岩風呂 大昔の川床 自然湧出
山形・湯舟沢温泉 山間の一軒宿
山形・銀山温泉 「能登屋」
 大正ロマンの木造四階建の宿。能登屋が有名だが他の旅館「永澤平八」も素晴らしい雰囲気。豪雪地帯で雪の温泉場の情景がよい。藤屋は「日本にも良いところがあります」のTVコマーシャルに出るドイツ人の女将
山形・東根温泉 「たびやかた嵐湯」 好感のもてる宿
山形・富本温泉 山形の寒河江の山奥の農家のような一軒宿。小判型の浴槽がとてもよい。夏と冬にそれぞれ訪れたがのんびり出来る。
山形・赤湯温泉 「おんやど滝波」 朝餅つきをして食べさす宿
山形・温海温泉 「萬国屋」,「たちばなや」 料理と接客がどちらも良い。
山形・大平温泉 滝見屋 車がすれ違えることも出来ない山道をたどって最後は歩いて渓谷まで降りる渓流露天風呂
山形・姥湯温泉 車がスイッチバックでなければ上れないような山道をたどる野趣豊かな露天風呂
山形・湯の沢温泉 時の宿すみれ お二人様しか泊めない。時計・TVもない癒しの旅館。極上米沢牛の懐石。
福島・玉ノ湯 玉林房 浜通り 家族経営7室のみ しゃれた温泉。原発事故で廃業?
福島・玉梨・八町温泉 奥会津 恵比寿屋 一つの旅館に玉梨温泉と八町温泉の二つの源泉 川を挾んで玉梨・八町の共同湯がある。
福島・くろがね小屋 安達太良山の山頂近くの山小屋。ここの源泉が奥岳温泉,岳温泉の源泉。正月でも営業しているので冬山の入門に最適。
福島・高湯温泉
 白濁した硫黄泉,「吾妻屋」吾妻スカイライン沿い。高湯では玉子湯旅館が有名だが「ひげの家」もよい。
福島・幕川温泉 「水戸屋」,「吉倉屋」 吾妻連峰上部の高所の湯 他にも新野地温泉,赤湯温泉,鷲倉温泉等がすぐ近くにあり,いずれも甲乙つけがたい。
福島・川上温泉 奥土湯温泉 静でたっぷりの湯。
福島・不動湯温泉 奥土湯 斜面に沿った渡り廊下の途中に泉質の全く異なる源泉の湯舟がいくつもある。
福島・二岐温泉 「ガストハオス・二岐」
 山あいの秘湯。ドイツ語で宿を旅館名にするロッジ風の外観にオーナー夫婦のセンスが光る。ママのひくグランドビアノを聞きながら地元の季節を生かした365日日替のフランス料理のフルコースが味わえる。ユニ一クな宿であったが離婚したと聞くので閉館?。二岐温泉には大丸あすなろ荘等の和風の良い旅館もある。現在大丸あすなろ荘が経営
福島・甲子温泉 大黒屋 大きな岩盤の岩風呂 国道が会津まで貫通し冬も営 業するようになった。
福島・湯の花温泉 旅館末廣 のどかな温泉
福島・木賊温泉 舘岩村 井筒屋 渓流の露天風呂 木賊温泉から尾瀬への登山基地檜枝岐温泉や途中の小豆温泉(花木の宿)もよい。
【関東】
栃木・大丸温泉 旅館の中の川が露天風呂
栃木・北温泉 鄙びた温泉 大露天風呂
栃木・奥鬼怒 「手白沢温泉」
 バスを降りて山道をl時問程歩いて行く。奥鬼怒温泉郷には他に八丁ノ湯。加仁湯。日光沢温泉。とそれぞれ趣のある温泉があり,ハイキングをしながら手軽に秘湯気分を味わえる。
栃木・三斗小屋温泉 「大黒屋」 建物が江戸時代の旅籠 ロープウェー那須山頂から歩いて2時間の山奥 歩いてしか行けない宿。
群馬・沢渡温泉 まるほん旅館 浴槽の雰囲気が特におすすめ
群馬・たんげ温泉 美郷館 比較的新しい温泉で沢渡温泉に近い一軒宿
群馬・武尊温泉 萱の家 茅葺きの宿 風情のある木の風呂
群馬・草津温泉 「ひのき亭牧水」草津には名旅館・高級旅館が多いが,ひのきの風呂,部屋,食器でまとめた余り知られていないこじんまりした旅館
群馬・法師温泉 「長寿館」 アンテイィクムードの歴史ある旅館
群馬・四万温泉 「積善本館」 アールデコ調の風呂を始め様々な浴室。
群馬 谷川温泉 「仙寿庵」 高級リゾートのモダンな建物に和風高級旅館    部屋付き露天 食事もおいしい。
山梨・「橋倉鉱泉」
 山あいの一軒宿,主人の駄洒落の説明を聞きながら食べる懐石風山菜天ぷらの絶品料理。ただし,温泉法上の温泉ではないことが判明。平成23年12月から休業・廃業?
山梨・碇寿司温泉 甲府市内にある寿司屋の温泉 湯達入郎氏が日本一と称するモール臭、気泡、甘くておいしい源泉。17年夏まで改装中で休業。廃業。山梨にはモール泉で泉質の良い三珠温泉もある。
山梨・黒森鉱泉 渋い鉱泉宿
山梨・手打沢温泉 身延線沿線中富町のどかな棚田の奥にある農家 山里の渋泉 明治32年の温泉分析表が残っている。
山梨・赤石温泉 身延線沿線南アルプス前衛の山懐にある静かな一軒宿
山梨・奈良田温泉 白根舘 南アルプスの急峻な山懐に抱かれた白濁掛け流し温泉
【新潟・長野・静岡・中部】
新潟・鷹ノ巣温泉 「喜久屋」
 荒川峡谷離れの宿,上品な山菜料理と村上の鮭料理
新潟・瀬波温泉 靜雲荘 瀬波温泉の中ではこぢんまりした海沿いの温泉 景色・料理
新潟・角神温泉 「ホテル角神」
 ホテルらしくない滞在型の一軒宿。
新潟・栃尾又温泉 自在館 湯治場
新潟・駒ノ湯温泉 駒ノ湯山荘 越後駒ヶ岳の登山基地
新潟・大沢山温泉 大沢館 巻機山を眺めながら入る雪見の半露天風呂が最高
新潟・逆巻温泉 秋山郷の入口に近い渓谷上の一軒宿 源泉の湧く洞窟風呂
新潟・岩室温泉 「ゆめや」 和風高級旅館
笹倉温泉 龍雲荘 秘湯を守る会 千寿荘
焼山温泉 「清風館」 露天檜風呂からの雪景色が絶景
長野・下諏訪温泉 「みなとや旅館」
 宿のスタイルをかたくなに守り続ける文人好みの宿,中庭の白い玉砂利を敷いた露天風呂とサクラ鍋等の料理が素晴らしい。
長野・下諏訪温泉 「まるや旅館」 脇本陣 一日3組しか泊めない。
  日本一の朝ご飯として紹介された宿 
長野・上諏訪温泉 「片倉館」片倉財閥が建てた洋館 深い風呂
長野・別所温泉 別所温泉街の「旅館花屋」 純和風の落着きのある宿
長野・高峰温泉 浅間山に連なる高原の温泉
長野・中棚荘 小諸 島崎藤村ゆかりの風情の宿 
長野・仙仁温泉 洞窟風呂 人気が高く予約のとれない宿。高級旅館の好いところをすべて取り入れた雰囲気・料理すべて最高の旅館 2時チェックイン
 チェックアウト12時
長野・本沢温泉 八ヶ岳 日本最高所の温泉
長野・野沢温泉 「さかや」 老舗旅館 源泉掛け流し
長野・野沢温泉 「村のホテル住吉屋」 山菜料理の美味しい温かみのある宿
長野・鹿の瀬温泉 木曾 江戸古伊万里,浮世絵の収集品を展示するユニークな宿
長野・中房温泉 山の温泉として老舗 源泉32? 露天も含め湯舟26?の温泉三昧
長野・有明温泉 中房温泉のすぐそばではあるが,内湯と外湯が良い。
長野・木曽御嶽温泉 風里(かぜり) しゃれた雰囲気 料理もセンスが抜群。
伊豆・修善寺温泉 「あさば」 能舞台のある歴史のある高級和風旅館
伊豆・嵯峨沢温泉 「嵯峨沢館」 風呂や雰囲気も良く,人気のある日本的でサービス満点の高級旅館
伊豆・白壁荘 湯ヶ島 文人の宿・民芸調の宿。巨石風呂、巨木風呂 猪鍋、山葵ご飯
伊豆・下賀茂温泉 
 「藤波荘」 8部屋だけの料理の素晴らしい高級旅館 露天風呂に使われている石は伊豆青石
 「南楽」  個人で入れる貸切の風呂や趣向を凝らした湯舟がいくつもある。
伊豆・桜田温泉 温泉脈から直結掛け流しの湯,自然冷却,温泉についてこだわりの宿 伝統ある旅館ではなく素人的な超高級民宿とでもいえる宿
伊豆・河内温泉 金谷旅館 内風呂が素晴らしい木造の千人風呂
愛知・湯谷温泉 「はづ別館」 「はづ木」
 料金を自由に客が決めるユニークな宿。サービスと料理も素晴らしい
奥飛騨・中尾温泉 「中尾平ホテル」
 4つの風呂を入浴中個人で独占できる。プチホテル風の宿。
岐阜・渡合温泉 ランプの宿
【北陸】
石川・和倉温泉 「加賀屋」
 有名なサービス,料理とも満点の宿ということだが,未入湯。妻は天皇も宿泊した加賀屋でも最高級の部屋に義父母と宿泊しているが温泉に興味がないので部屋の内風呂しか入浴しなかった上,刺身を食べないので多分能登の新鮮な海鮮料理も味わっていない。これも最高の贅沢かも知れない。
富山・氷見グランドホテルマイアミ 露天から富山湾越しに見る立山が絶景
富山・床川温泉 「ゆめつづり」 リーズナブルな値段の和風旅館
富山・祖母谷温泉 トロッコ終点から歩いてしかゆけない。露天・祖母谷地獄は川の天然温泉
【近畿・中国・四国】
滋賀・尾上温泉 「旅館紅鮎」
 竹生島がすぐ前に見える琵琶湖畔の景色の素晴らしい高級宿
奈良・湯泉地温泉 「湯の里」 奈良から車で数時間十津川村。崖ぶちに建つ露天風呂が素晴らしい。料理も良い。
奈良・入之波温泉 吉野川の源流,大迫ダムのほとり。成分の多い濁り湯で有名な秘湯中の秘湯。また素朴な食事内容にも定評がある。
鳥取・三朝温泉 「斉木別館」 中庭のきれいな日本的な宿
鳥取・「岩井屋」 岩井温泉 センスの良い和風旅館と創作料理 山陰の古くからの温泉街 温泉手形で特徴ある各旅館の風呂巡り
島根・玉造温泉 「長楽園」 千人が入れるとても広い露天風呂がある宿
島根・温泉津温泉 歴史のある湯治場 世界遺産ともいえる湯治場
広島・宮浜温泉 「庭園の宿石亭」 安芸の宮島が眺められる,離れでリッチな宿
兵庫・有馬温泉 「御所坊」 有馬で一番よい宿
四国・祖谷温泉 平家の落人部落,葛橋のある秘境祖谷渓。ケーブルカーで渓流まで降りる。
四国・道後温泉 道後温泉の象徴「坊ちゃんの湯」
【九州】
大分・由布院温泉 「亀の井別荘」
 O弁護士が日本一の旅館と推薦する離れを主体とした落着きの高級旅館,6月には宿の近くでホタルの群舞が見られる。城下カレイの旬6月に的山荘と組み合せればリッチな旅行ができる。九州の陶芸窯巡りの序でに妻と宿泊して滅多に誉めない妻もそれなりに評価してくれたが例によって妻は部屋の内風呂しか入らなかった。
大分・湯坪温泉「泉水」 民宿温泉 安くても雰囲気・料理・風呂もよい。
熊本・奥黒川温泉 「帆山亭」 離れが主体 風呂も含めた雰囲気もベスト
熊本・黒川温泉 黒川温泉には湯布院と同様,注目の名旅館が多い。「いこい旅館」,「山みず木」
熊本・「やまなみ」 産山村
熊本・垂玉温泉「山口旅館」
鹿児島・新湯温泉 新燃荘 強度の硫黄泉
鹿児島・妙見温泉
 ユニークな風呂とニワトリが目覚し時計の「忘れの里雅叙苑」,
瀟洒でサービスのよい「石原荘」,建物と風呂に風情のある「おりはし旅館」
鹿児島・天空の森 一泊20万円 広大な敷地